お茶イルカの記録集

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【ユニコーンオーバーロード】難易度ZENOIRAまでクリアした感想

こんにちは。

お茶イルカです。

 

今回の記事は、ヴァニラウェア開発、アトラスより発売されたファンタジーシミュレーションRPGの「ユニコーンオーバーロード」をプレイした感想記事となります。

1周目を難易度EXPERT、2周目を難易度ZENOIRAで行い、2周の累計時間は200時間超でした。

 

 

 

 

 

1.総評

 

結論から言うと、SRPGというジャンルが好きな人なら間違いなく楽しめる名作だと感じました。近年のゲームでも屈指の作品ではないのでしょうか。

本作のゲーム性は「複数の部隊を組み、リアルタイムで進行していく戦場を駆けながらマップを攻略していく」と解釈していますが、これが実際字面以上にとっつきやすく、奥深いものでした。

私は同じSRPGジャンルのゲームである、ファイアーエムブレムシリーズをよくプレイしていますが、本作に関しては同じSRPGジャンルとして販売を楽しみにする気持ちと同時に、「リアルタイムで進行する」という箇所に不安を感じてもいました。

ターン制のゲームであれば、一部例外はあれど基本的に自分の手番が終わるまで考えることができます。ですが、例えばアクションゲームのようなリアルタイム進行となるとそういうわけにもいきません。

ただ、本作はリアルタイム進行とはいっても一時停止が的確なタイミングでかかってくれることが多いため、この点を中心にかなりストレスフリーにプレイすることができました。

そんなわけで、体験版からダウンロードして数時間もプレイしていくうちに、不安は霧消し、製品版の購入ページへアクセスして発売日を待ち、発売日を迎えてクリアまで何度か不眠でプレイしながらも今回の記事を書くに至りました。

さっそく次章から、本作の魅力に触れていきたいと思います。

 

2.システム

 

まず、私自身が1ユニット1部隊となるSRPGばかりをやってきたのもあり、「個性的な性能を持った、様々な兵種のユニット同士を掛け合わせて部隊を編制していく」という部隊システムが新鮮でした。1ユニット1部隊制であっても攻撃面や防御面のバランス等を考えて全体として構築していくのは共通していますが、本作では部隊内でそれを要求されます。ここが私にとってはかなり面白いと思ったポイントです。

攻撃面に寄りすぎれば防御に回ったときかなり崩されやすいので防御面に寄ったユニットを部隊に編制して部隊の安定感を向上させる…序盤のうちはできることも少なく、システムに不慣れでもその程度を把握していればスムーズに攻略を進めることが可能です。

ですが、クラスチェンジ等でできることやそもそもの兵種が増える中盤以降でシステムの奥深さと複雑さがぐっと増してきます。もちろん敵でも例外ではなく、こちらの部隊の構成の練度、相性によっては一瞬で瓦解させられてしまうことも増えてきます。逆もまた然りで、多少のレベル差があろうとも強敵相手に勝利する、いわゆる「大物喰い」も可能です。それは最高難易度であろうとも例外ではありませんでした。

構成・相性が多少のレベル不利も覆す例

また、兵種ごとのバランスがかなり優れていると感じました。運用をそれほど考えずとも活躍しやすい兵種、対照的に運用に工夫が必要な兵種こそ存在はしていますが、それでも「使う意義が全くない兵種」はないと断言できるほどです。例えば、ファイター→ヴァンガードは序盤は前衛としては心もとない耐久、終盤では攻撃性能の低さが響きます。しかし、遠隔物理攻撃から味方をかばいつつそのダメージを無効化する「アローカバー」の存在から、単体を守る性能の高さについて右に出るものはいません。遠隔物理攻撃と一口に言ってもその適用範囲は意外と広く、弓兵からの攻撃だけではなく、飛行の敵からの攻撃も基本的に遠隔物理攻撃扱いとなるため、斥候や飛行兵とだけではなく、騎兵とも組み合わせる意義が生まれてきます。

そうして、兵種ごとの新たな発見をしていくと、必然的に部隊編成にも新たな発想が生まれ、試行錯誤していくうちに部隊編成の楽しさに引き込まれていくのです。

 

3.シナリオ

 

始まりから終わりまで正に王道の※貴種流離譚ものといったシナリオで、かつテキストがかなり良質なため世界観にどっぷり浸かることができました。

貴種流離譚:特別な出自を持つ者を主人公(本作では亡国コルニアの王子アレイン)として数々の逆境を乗り越えて返り咲く物語の類型のひとつ

 

エピソード開始時の一幕


上画像群は私のお気に入りのエピソードのひとつ「岩山に薔薇よ咲け」の一幕です。

展開を書く前に少しキャラクター紹介を挟みますと、4枚の画像すべてに出ているイケおじジョセフというキャラクターは主人公アレイン(画像1枚目左)と、その母である女王イレニアの代からコルニア王国に仕えている歴戦の老騎士です。敵国であるゼノイラ帝国からの侵攻の折には、女王イレニアの命でアレインと共に逃げ延び、それから父代わりとしてアレインを育て上げ、決して多くはない協力者と共に解放軍を立ち上げました。

このエピソードの展開としては「アレインの従姉=イレニアの姪であるヴァージニア(2~4枚目左)が敵討ちのため突出したのでそれを助けに行く……」というものです。味方の危機というのはもちろんですが、かつてアレインを守るためとはいえ逃げ延びた結果イレニアを最後まで守れなかったという負い目を持つジョセフにとってはただならぬ事態でした。

1枚目の状況は、城から逃げ延びた日の回顧と共に、あの日と同じようなことにはさせないという決意をジョセフが表明するシーン、2~4枚目についてはエピソード終了後、ジョセフが自身の負い目を語るもののヴァージニアはアレインを生かし育てたことを労い、互いの決意をさらに固めるというシーンです。

もう最高です。負い目を抱えながらもさらに前へ進むという展開にとても弱い私としてはスタンディングオベーションものでした。場面は異なりますがエルヘイムである人物に女王と共に戦わなかったことを糾弾されたときにもジョセフがしっかり動揺するリアクションをしていたところで細かい仕草まで作りこまれていると感じました。

シナリオ全般としてそのようなかたちになっているので、まさしく王道のシナリオといえます。

 

4.キャラクター(グラフィック含む)

 

一言でいえば外面も内面も素敵なイケおじキャラクターの展覧会です。

グラフィックや、キャラクター同士の掘り下げにもあたる支援会話親密度会話がよく作りこまれているのもあって、どのキャラクターも個性的かつ魅力的でした。

フォドラの紋章学者を思わせる素敵な声とビジュアルの持ち主

上のキャラクターはコームというキャラクターで、メイエ家の当主メリザンドの従者ですが、メリザンドにかける熱意は尋常ではありません。

シャロンというキャラクターとの親密度会話では、彼女に発破をかけられ一念発起してメリザンドのための服を一から仕立てようとする少々行き過ぎた熱量を見せてくれます。

もちろんただ主君への熱量がありすぎるネタ要素だけではなく、

行軍中突如敵軍の矢を受けたコーム、彼を連れて逃げるメリザンドの姿から始まる親密度会話ですが、二人がどれだけお互いを想っているかがよくわかる一幕です。

謙虚に身を粉にして頑張る老騎士がとても好きなのでコームもとても好きなキャラクターです。

 

次に紹介したいのが、ルノーというキャラクターです。

少々ポエミーな決意表明ながらもとても真剣

10年間もの間洗脳され敵国ゼノイラの将として民を苦しめてしまった自責の念に耐えかねた彼は洗脳から解放された後下野しますが、紆余曲折ありつつも再びコルニア王国、今の解放軍に仕えはじめます。しかしながら、見ていて痛々しくなるくらいには負い目を感じています。

同じく10年もの間洗脳を受けており、民を苦しめたことに負い目を感じているホドリックですら見かねるほどの自罰的な心持ちです。

挙句の果てにはファイアーエムブレムでいう支援S的なイベントである契約の儀式の冒頭においてもいきなり下のような対応です。

うーん、好きです。

ここまでの態度になるということはそれほど真摯に物事を考えていることの証左でもあり、風花雪月のギルベルトを彷彿とさせるような言動にもう私の心は引き込まれてしまいました。無難にジョセフやホドリックをトップクラスで好きになるかなーと思っていたら思わぬダークホースが潜んでいました。

 

そして…

「俺ってば才能の塊かよお!」

レベルアップボイスをはじめ愉快すぎる男、ジェレミー今作の中で一番のお気に入りです。

見た目としては味方にならなさそうな強敵の敵将感がありますが、この作品ではきちんと仲間になってくれます。解放軍に参加した動機も「勝ち馬に乗るため」というきわめて現実主義、打算的な動機ながら、根がかなり常識的なため親密度会話ではとにかくぶっ飛んだ言動をする周りに振り回される役割が多いです。

契約の儀式でも指輪を売り飛ばそうとしてアレインに釘を刺されたりととにかく俗っぽい描写が目立ちます。ですがそれで終わらないのが本作品の魅力です。

いつもの軽薄な態度とはうってかわってこのように独り言つ彼の過去には並々ならないものがあり、徹底した現実主義の秘密がそこにはあります。

そんな彼の秘密は…プレイしてぜひ確かめてみてください!

 

5.まとめ

 

色々と語ってきましたが、本作はシステム、シナリオ、キャラクターの三拍子が揃ったSRPGの中でも間違いなく名作といえる作品です!

この記事を見て既プレイの方は「確かにそうだよね」と思えるような感想、未プレイの方にとっては購入を少しでも考える動機となれば幸いです。

最後になりますが、食事が本当に美味しそうなので、そういった面でもおすすめです!!